9 20, 2006

この空間の広がりは東京で味わえない

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JR札幌駅北側に果てしなく連なる広大なキャンパス。
北海道大学。
おなじ国立でも東京大学や京都大学の箱庭のようなキャンパス風景を想像されるとチョット面食らう。
なにせ地下鉄3駅分の広さ。
構内に3つもの美術館を擁するハーバート大学には負けるかも知れないが、これだけの環境が用意されているところは国内では見当たらない(キッパリ)。
(ちなみにここの面積は1,775,000㎡、かたやハーバードは380エーカー、ということらしいので、どなたか時間をもて余しているかたは電卓で)

北大の前身は「青年よ、大志をいだけ」のクラーク博士率いる札幌農学校。
その農学校が模範農場(モデルバーン)を造ったのが明治9年(1876年)だが、その時建てられた木造の穀物倉庫や牧牛舎、精乳所など数棟が、この北大キャンパスの一角にちゃんーと残されて、公開されている。
重要文化財「札幌農学校第二農場」。
19世紀中ごろアメリカで盛んだったバルーンフレーム構造を採用しているとのことだが、米国でもこの手の建造物は希少になりつつあるのではないか。
写真は3階建ての穀物庫だが、内部の木材は経年の変色はあっても、いまだに衰えもなく現役の様相。
2階部分の扉の上部には西部劇やジョージア・オキーフの絵に出てくるような牛の頭蓋骨を模した木彫が取りつけられていて、当時の農夫たちが笑いながらその頭蓋骨を見上げている姿がぼんやり浮かんでくるではないか(写真部分をダブルクリックすると、かすかに判別できると思います)。
ただ、階上に収集されたさまざまな農機具類はもはやなんのために、どのように使用されたか、知る人もいないのではないかと思わせ、時間の残酷さを確認させられる瞬間でもあったような。

この第二農場も時代の変遷とともに縮小、縮小を余儀なくされて現在にいたったらしい。
しかし、復元作業に入った東京駅駅舎の上空権まで取引されるようなこの時代に、いまでもこれだけの敷地と施設を確保して文化財の保存に目を向けている関係者の姿勢は美しい。

日本は「美しい国へ」なるんだそーである。
期待してていいんでしょうか。


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2 22, 2004

英一蝶の狛犬

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伊皿子から新高輪プリンスホテル裏手にかけての、ちょうど尾根筋にあたる長い商店街は、昭和の味わいをところどころに残していて、ふらっと歩くにはいいんです。
火の見櫓の近代版のような塔を備えたレトロな消防署、稀購本や限定本を扱う小さな本屋、相当年季の入った和菓子屋など、楽しみがあるところなんですが、寺院も相当多い東京版寺町通り。

そのなかのひとつに承教寺という寺があるんですが、門前の狛犬が前から気になっておりました。
見てください、なんだか人を食ったような人面魚ならぬ人面犬。
しかもカイゼル髭をたくわえた口元、威張りくさった表情、でもその威厳の裏側に浮かび上がる滑稽さ。
作者はユーモアとアイロニーを愛する人、とにらんでいたのですが、横の看板をよく読んでみると、やはり。
「英一蝶(はなぶさ いっちょう)1652-1724 江戸中期の画家狩野安信に学ぶ 46歳のとき朝妻舟という絵で将軍綱吉の放縦な生活を諷刺したため、幕府の忌諱に触れ三宅島に遠島」とある。
うれしいですね、こういう人に狛犬制作をお願いしても、可愛い柴犬みたいな狛犬なんてゼッタイ作ってくれないんです。
常識派が考えつかないような視点で世界を視ている。

でも、この狛犬に似たような顔をどこかで見た記憶があるんですが、思い出せません。
どなたか、ヒントをプリーズ。

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2 08, 2004

ヒュースケンの墓

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はじめて杉本博司さんの写真をじかに見たのは六本木ヒルズのHappiness展で。
写真を使った現代美術作家、という解説も十分に納得させる力がありました。
その杉本さんが連載している雑誌「和楽」3月号の記事で、下田に現れたハリス提督の通訳として日本に滞在したヘンリー・ヒュースケンのお墓が麻布の臨済宗光林寺にあると。
いつも仕事でそのお寺のすぐ近くのスタジオへは行っていたのですが、大きなお寺があるな、という程度の認識しかなかったのですが。

日曜日、散歩がてら行ってみると、このお寺、とても清々しいんですね。
明るさと潔さが同居しているような、禅の精神性を感じさせる建物、庭、林。
その奥まったところに、29歳の若さで非業の死を遂げたヒュースケンの墓がありました。
ちょうど造園業の庭師さんたち数人が墓地を清掃しているところだったので、場所を尋ねたところ、わざわざその場所まで案内してくれたのです。
岩波文庫「ヒュースケン日本日記」にはその墓は「訪う人もなく埋もれている」と記されていましたが、誰が手を合わせたのか線香が数本。そして何故か可愛い小鳥の置物がその足下に置かれていました。

誰かが「雪の光林寺も素晴らしい」って言っていました。
雪が降ったら、また行ってみよう、っと。

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