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3 22, 2009

日本にもこんな人がいると思うと誇らしい

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いやぁ、すごい人が現れたもんですなー。
むかし流行ったサントリーのキャッチフレーズ風に言わせていただけるなら、「こんな男、ちょっといない」。
といっても、いきなり登場したんじゃなくて、ここ十年でなんだか大化けの様相なんですな。
その人の名、「杉本博司」。

当方のブログにこの人の名前がはじめてお目見えしたのは、5年ほど前。
そのときは月刊誌に写真と記事を提供しているカメラマン、という程度の認識でしかなく。
が、その文章たるや荒俣宏や中沢新一を彷彿とさせる該博ぶりで驚かされた記憶あり。
その後、2005年11月には六本木ヒルズで見た「杉本博司 時間の終わり」展を紹介しておりますが、写真家杉本博司という認識からインスタレーションなどもやっちゃうアーティスト杉本博司へ、という風に若干の軌道修正。

そして、今回。
金沢21世紀美術館で行われた「杉本博司 歴史の歴史」展。
去年の11月から開催されていたのですが、当方も仕掛かり中の仕事の最後の追いこみとあって、身動きがとれず。
ようやく金沢へ飛ぶことができたのがこの美術展終了間際の2日前(本日3月22日で終了)というタイトロープ。
日頃のおこないが良かったせいか、なんとかすべりこむことができました。

ここで見せてくれた杉本博司の顔は能舞台や護王神社を作ってしまう現代作家ではなく、蒐集家としての顔、そしてそのコレクションと自分の写真とをからませてメッセージを送る、世界中どこを探しても見当たらないコンセプト・メーカー&アート・プロデューサーとしての顔であった。
(こう書いて、ほかに思いつくのはランド・アートでびっくりさせてくれるクリスト夫妻ぐらいしかいない)
しかも、そのコレクションのレベルはおそらくは海外のオークションや京都あたりの古美術商から仕入れたと思われる一級品、というより国際的にも価値の抜き出たものばかり。
さらに、カバーするジャンルたるやその頭脳に展開される世界観そのままに、幅広い、というか、広すぎる。
当方のような凡庸な市民生活者には圧倒されるばかりであった。
たとえばジュラ紀の化石や隕石があると思えば、閣僚全員のサイン入りルーズベルト内閣写真。
明恵の書簡を掛け軸にしたものがあると思えば、昭和天皇など近代史を飾るお歴々が表紙に登場する第二次世界大戦前後のTIME誌54点一気並べ、といった具合。

冒頭の写真は、彼の世界的評価を定めた「海景 Sea Scapes」のうちの9点が円形の部屋に展示されているところだが、そのスペース中央には平安時代のやすらかな十一面観音立像が無言のうちに立っている、といった按配。
「写真」「絵画」「骨董」「建築」「時間」「物理」「宗教」が杉本流に整理され、あるいは関連づけられ、見終わった頃にはただただ杉本博司その人の脳内容量のでかさに感服し、脱帽している自分がいたわけで。
恐れいりました。

じつはちょうど1週間前の3月14日、御成門にある東京美術倶楽部の「アートフェア」をちょっと覗いたとき、この人が濃紺のフラノジャケット、ジーンズ、デッキシューズという、けっして気難しいゲージュツ家風ではなく、フツーのオジサン風いでたちで、フットワークも軽く展示作品を見てまわっているのを発見。
ちゃんと勉強も欠かしていないんです(と、勝手に想像)。

21世紀美術館ですっかり骨抜きになったあとは、片町にある寿司「小松弥助」で生気補給。
こちらも相変わらず、というか、まごうことなき日本一ぶり、でありました。
「生きててよかった」というセリフは、やはりこの店のためにあった(断言)。

さて「歴史の歴史」展、さんざん持ちあげておいて、もう終わちまった、はナイだろう、と憤慨されているあなたへ。
4月中旬から6月初旬まで大阪中の島にある国立国際美術館で巡回展が予定されている。
この春、関西出張や京都・奈良への旅行計画をお持ちのかたは、ナニワの空の下で頭を一撃されてくるのも、よろしおまっせ。


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