« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »

12 26, 2008

いったいオレは何をみてたんだ

Rr0011049

記憶というのはこんなにもいい加減なものなのか、ということを思い知らされました。

「アラビアのロレンス」を劇場で見られるというので、新宿高島屋10階にある映画館へ行ってきたのですが。
オマー・シャリフが砂漠のかなたからユラユラとかげろうを通して現れるシーン。
お供の少年が砂地獄に飲み込まれるシーン。
砂漠を横断する列車を爆破するシーン。
断片的には確実に残っていた記憶もあるのだが、アレっ、こういうことだったんだっけ、とか、こんなシーンあったっけ、とか。
もともと記憶力の曖昧さでは人後に落ちないと自負する私ではあったのだが、ここまでお粗末なアタマとは思ってもいなかった(涙)。

いったい最初に観たのはいつだったのか。
こういうときインターネット検索はベンリですねー。
wikipediaには「1963年12月、日本公開」と紹介されている。
ということは、東京オリンピックの頃。
当方、まだ花の高校生。
あるいはその後の再上映か。

ストーリーはちゃんと覚えていなくても、観た映画館は昨日のことのように覚えているぞー。
いまはホテル西洋銀座などが入る銀座1丁目角(京橋側)に、その映画館はあった。
なにやらコルビジェ風のモダーンな建物、それが「テアトル東京」。
真っ赤なカーペットが敷きつめられた客席部分から当時としてはとてつもなくワイドなスクリーンを受け止めるステージまでゆるやかなスロープになっていて、それまで土ぼこりが舞う高円寺の大映系映画館しか知らない高校生には目のくらむような場所だったに違いない。
でも、誰と行ったんだろう、それもまったく記憶から欠落している。

ピーター・オトゥールが列車を爆破した直後、一緒に待ち伏せしていた仲間に「アカバ (Akaba, Aquba)へ!」と叫んだ(ポスター写真のシーン)ように記憶していたのだが、映画を観ると彼はそんなコトバは使っていない。
記憶のでっちあげ?
もしかしたら、再編集で違うものに差し替えられた?
しかし、いちどちゃーんと観たものもあやふやな記憶しか残ってないとなると、何を読んでも何を観ても時間のムダになりかねないなー。

でも、得るものもあり。
当方のアタマの中では、ロレンスは悲劇の英雄といった位置づけでこの半世紀近くを経過してきたわけだが、今回映画を見直してみると、純粋すぎる感性が痛々しい、といったややネガティブな印象のほうが勝っているような。
一緒にいると疲れそうな強い個性の持ち主(ボブ・ディランも、トルーマン・カポーティも、みんな同じだ)。
対極の評価が並立する複雑な人物。
英仏列強の植民地政策のはざまで個人の哲学は使い捨てされるしかなかったのか。

そういえば、リドリー・スコット監督最新作「ワールド・オブ・ライズ(原題はBody of Lies)」も、舞台はイスラムテロ組織がうごめく中東。
時代は移り、英仏から米国へ役者が変わっただけで、あいもかわらず中東に手を突っ込んでいる構図は不変。
ただしソマリア内戦を描いた監督の前作「ブラックホーク・ダウン」は、米兵のみが人間として扱われ、その反対側にいたソマリア民兵2,000人の死は無視されているとの批判を受けたのだが、今回の「ワールド・オブ・ライズ」では中東なんてクソくらえだ、と吐き捨てるラッセル・クロウに向かって監督はディカプリオにこんなセリフを言わせている。
「オレは中東が好きだ」。
本心かリップサービスかはさておき、これも歴史の進化(米国単独主義への反省)、と思いたい。

ともあれ、記憶力に自信をお持ちのご同輩は、一度脳ドックのつもりでご覧になってはいかが、かと。
全216分、途中休憩あり。
おまけに60歳以上はシニア割引(うれしいような、うれしくないような)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

12 21, 2008

そりゃあ安いにこしたことはないのだが

Rr0011047

札幌への出張時は、いつもマイレージを貯めているJALを利用していたのだが、ここんところSKY MARKオンリー。
お値段や変更しやすいかどうかなど、さまざまなポイントを天秤にかけると、当方のように1か月に数回足を運ぶ者にとって、SKY MARKが最善の選択肢であることがようやく分かってきたからだ。

料金のほうを見てみよう。
かりに今度のクリスマスイヴにJALで飛べば片道32,100円。
これに対してSKY MARKは片道23,800円。
往復では約20,000円もの差になる。
こいつはデカイ。
もちろんJAL・ANAを利用する場合でも少しでも安くあげようと、チケット屋で1枚8,000円から12,000円する株主優待割引券(季節によって価格が変動)を買って行く手もあるが、これで浮かせる金額は雀の涙。

SKY MARKの利点はお値段だけではない。
英語の機内アナウンスなし(当方には無縁)。
JALでは提供される無料飲み物サービスなし(眠っているとき邪魔されない)。
キャビンアテンダントも範囲内(JALと大差はないが、小差はあるかも)。
機内にテレビなどのビデオ機器なし(目が疲れない)。
写真のように空港ターミナルから飛行機までバス利用になることがたまにある(そうでない場合、喜びが大きい)。

JALにするか、SKY MARKにするか。
選択肢が増えることは、消費者が優位になれる機会が増えていることを意味する。
でも。
その一方でこうした「賢い選択」が結果的にライバル会社従業員の給料を下げる一因になったり、そこで働く非正規社員の職を奪うことにつながっていることはアタマのどこかで考えておく必要がありそうだ。
(ちなみにJAL西松社長の年収960万、バス通勤している、という)
もちろんSKY MARKの従業員たちも激しいエアライン競争を生きぬくために、給料が抑えられているであろうことも十分想像できる。

すこしばかりマクラが長くなったが、さてと本題。
ロバート・B・ライシュ「暴走する資本主義Supercapitlism」(東洋経済新報社)を読んでいなかったら、当方が飛行機代を浮かすことで誰かさんの時給を押し下げているという、あまり楽しくない関係性は見えてこなかったかも知れない。
個人的には、ひと昔前に比べて政治家や経営者などリーダーの発言から「公」とか「社会」といったの語彙が消え、「私」しか聞こえなくなったワケをずーっと知りたいと思っていたのだが、いまの時代、当方をふくめて誰もが自分を守ることで精一杯になっちゃっているんですねー。
格差問題にこころを痛められているご同輩にも、ぜひ読んでいただきたい一冊。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »