ホテルではないものを創りたかった
タイ南部、マレー半島西側に位置するプーケット島。
20年前、ここにそれまでにないコンセプトをもったリゾート宿泊施設が誕生した。
アマンプリ(Amanpuri)。
ここを創った人間によれば、「ホテルではないものを創りたかった」らしい。
そのコトバの真偽を確かめるべく、タイの旧正月にあたる4月中旬、アマンプリに行ってまいりました。
上の写真はなんだか絵葉書をスキャンしたみたいな平板なもので恐縮ですが、当方がレセプションホールから撮影したもの。
まさに、このまんま。
たしかに「ホテル」ではなかった。
受付には小さな机のうえに宿帳と電話機があるだけ。
PCもレジスターも見当たらない。
カーペットもない。
エレベーターもない。
人々のざわめきも聞こえない。
あるのは南国の鳥たちのさえずり、海から聞こえてくる波の音。
ハイテク機器とジムを備えた都市型タワー型ホテルだと立派な制服をきたドアボーイやコンシェルジェの丁重なもてなしが当方の背筋をムリヤリ伸ばさせたり、こわばらせたりするのだが、ここにはそれがまったくない。
働いている人たちは(表立っては)現地の人ばかりで、みなアルカイック・スマイル。
その多くが裸足なんである。
なんだか、すべてがなつかしいアナログ的感覚。
滞在客はすべて「パヴィリオン」と呼ばれる一戸建てのコテッジで過ごすことになる。
ここも地元のチーク材を主体にした素朴な小屋で、ベッドサイドにはタイの寺院でみかける屋根の尖塔が飾られているといった佇まい。
テレビもラジオも備えられておらず、わずかにCDプレーヤーと宿が制作したCDがあるのみ。
日本でいえば清潔な農家のたたみ上でゴロンとしているような空気なのである。
たしかに、タイの物価水準に比べて格段に高い料金設定は指摘しておかなければならないが、それでもここでの数日の滞在の記憶は長いあいだこころから離れることはない、と思わせるだけのものがある。
「ホテル」では実現できないもの。
それがコトバ通り、ここにはあったような気がする。
20年間のあいだに世界中にアマンプリの後継者を作ってきた会社、アマンリゾーツ(Aman Resorts)はもうすぐ京都にも新しい施設をオープンさせるとか。
当方としては、現在ブータン王国に4つ点在しているアマンコラ(Amankora)のうち、標高2635mに位置するアマンコラBumthangが次なる目標。
さ、明日からまたセッセと働かなくっちゃ。
ホテルを否定し、新しい宿泊形態を模索する。
「破壊から創造へ」はアートの世界だけではなかったんですね。
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